●外へ行かないと排泄しない
外に行かないと排泄しない子は多いと思います。排泄のたびに歩いたり、屋外の刺激に触れるのは犬にとってはいい面もありますが、犬が自分で歩けなくなってくると飼い主さんは大変です。将来を見越して苦労しそうな場合は、早めに再トレーニングをし、室内でも排泄できるようにしておきましょう。
●粗相してしまう
シニアになると排泄を我慢できる時間が短くなります。トイレに間に合わず粗相してしまうことも。その場合も決して叱らず、犬が失敗する前に排泄できるようトイレの数を増やす、外へ連れ出す機会を増やすなどの対応を。犬が自分で排泄できなくなったら、紙おむつを使ってもいいでしょう。
●オシッコやウンチが自分で出し切れないようです
自力排尿できないときは、膀胱を押して強制的に排尿させます(圧迫排尿)。自力排便できないときは、皮膚越しに便をつかんで押し出します。いずれも動物病院でやり方を教えてもらっておきましょう。
●排泄するのが大変そうです
排泄するときの中腰の姿勢は、老齢になるとしんどいものです。腰を支え、ふんばる手伝いをしてあげます。
●歩くのがつらくなってきたようです
ちょっとふらつく程度のときは、とっさに体を支えることができるよう、散歩のときは首輪ではなくハーネスを使います。後ろ足が踏ん張れなくなってきたら、胴体や腰を支えるための「ウォーキングベルト」を使いましょう。歩かせるのをあきらめると、すぐに寝たきりになってしまいます。できるだけ自分で歩けるようサポートしましょう。
●うまく食事ができません
立って食事ができる子なら、頭をあまり下げずに食べられるよう、食器の位置を高くします。立って食べられない子は、伏せの姿勢で食べさせるようにしたり、上体を起こして背中を支えるようにして食べさせます。フードが飲み込みにくいようなら、ぬるま湯でふやかし、つぶしてから与えるか、犬用の流動食を与えるようにします。。
●お風呂に入れてもいい?
シニアになると外で走り回る機会が減るため、あまり入浴は必要ないと思いがちですが、実は排泄物などで汚れることが。入浴は犬の体に負担が大きいので、細心の注意を払って洗うようにしましょう。
たらいにぬるま湯を張ってお尻の周りだけを洗うのでもOKです。熱いシャワーをかけると蒸気が発生しますが、なるべく湯気を吸い込まないように気をつけてあげましょう。また入浴後はタオルなどで素早く体を乾かしましょう。
犬もシニアになると、人の認知障害と似た症状が出てくることがあります。原因は老化による脳の神経細胞の衰えや自律神経機能の低下、脳の萎縮などが上げられていますが、はっきりとしたメカニズムはまだわかっていません。
その症状はさまざまですが、例えば下記のようなものがあげられます。
○飼い主の言うことを聞かなくなったり、認識できなくなる
○嬉しいなどの感情を示さなくなる
○特に理由がないのに吠えて、一晩中続く場合もある
○食べ物への関心が高まる
○トイレ以外の場所で排泄してしまう
……など
病気のメカニズムがはっきりしないため、予防も難しいのですが人間と同様、食事を通じてドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)などの成分を早期から摂取することは一定の効果があるといわれています。散歩や食事以外の楽しみがなくなりがちな室外飼育の子は室内飼育に切り換えたり、頭を使った遊びを教えてあげるなどして脳に適度な刺激を与えてあげるのもお薦めです。