●慢性腎不全
シニアの猫でよく見られるのが慢性腎不全です。
腎臓には、血液をろ過して老廃物を尿として体の外に出すという重要な役割があります。ところが腎臓の組織が壊れてしまうと、ろ過機能がうまく働かなくなり、老廃物が体内に蓄積してさまざまな不調を起こすようになります。早く気づくことができればいいのですが、腎臓はその働きが4分の3以上失われないと症状が表れないと言われます。そのため、気づいた時には症状が進んでいることが多いのです。早期に発見するためには尿検査や血液検査を行う必要があります。痩せる、多飲多尿、食欲不振のほか、口内炎や口臭といったこともサインとなります。
また、普段の食事では腎臓に負担をかけないよう、タンパク質を制限したフードを与えたり、十分な水を飲ませることも大切です。
●歯周病
歯周病は歯垢中の細菌によって、歯肉など歯の周囲の組織に炎症を起こすこと。歯みがきなどのケアを行わないと、年齢に関わらずかかりますが、シニアになると体の抵抗力などが落ちてより歯周病にかかりやすくなります。これまで歯みがきしていなかった子は特に注意が必要です。
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●乳腺腫瘍
避妊手術をしていないシニアのメス猫によくみられます。多くの場合は悪性です。最初は乳腺に小さなしこりができますが、放っておくと大きくなり、皮膚が破れて出血することも。肺に転移することが多く、そうなると呼吸困難、食欲不振や、咳がみられます。腫瘍の摘出手術をしても再発することが多いので、早期発見を心がけてください。しこりが小さいうちは被毛に隠れて見えにくいので、手で触れながらチェックして。
●心筋症
シニアの猫に多い心臓病に、心筋症があります。心臓の筋肉の異常によって起こるもので、シニア世代では肥大型心筋症がよくみられます。心臓の左心室の壁が厚くなり、狭くなるため、一度に血液を送り出す量が少なくなります。呼吸困難や胸水といった症状のほか、血栓ができるために後ろ足が麻痺することがあります。できるだけ早く血栓を取り除く必要があります。原因ははっきりせず、再発することも多い病気です。
●甲状腺機能亢進症
甲状腺機能亢進症は、甲状腺の異常により甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気です。甲状腺ホルモンには新陳代謝を活発にする働きがあるため、「うちの子は老いてますます元気だわ」と思っていたら実は甲状腺機能亢進症だったということもあるので注意が必要です。
症状としては、異常に活発で食欲旺盛、たくさん水を飲み、便もよく出るが、痩せてくる。脱毛やフケ、爪が伸びやすくなる。心拍数や体温の上昇、過呼吸といった症状も見られます。心臓に負担がかかり、心臓病を起こすこともあります。治療としては、甲状腺の切除手術や甲状腺ホルモンの分泌を調節する薬を投与します。